部活動の外部コーチが国家資格になる!? 1年間指導員をやって感じたこと

こんにちは!

バドミントン情報を届けるブログ「バドミントン・アーカイブ」の管理人スカラー(@badminton_crow)です。

学校の部活動には、国が定めた制度があることをご存知だろうか?外部コーチが国家資格になる未来も、もしかするとそう遠くないかもしれない。そんな話題をお届けしよう。

外部コーチが国家資格になるってどういうこと?

部活動指導員の制度化

すでに文部科学省は2017年3月に「部活動指導員」の制度化を発表しており、4月にはこの制度がスタートしている。

松野文部科学大臣「部活動指導員の制度化により、地域のスポーツ指導者等が部活動の指導や引率を職務として行うようになりますので、生徒の技術の向上に資するとともに、教員の業務負担に資するものと期待しています。」

※動画内より抜粋

スポーツ専門指導員の国家資格化も検討中

上で紹介した「部活動指導員」を国家資格にしようという動きも、すでに自民党内から出てきているようだ。

2020年東京五輪・パラリンピック後を見据え、部活動への外部人材の登用や、引退した選手のセカンドキャリアの受け皿をつくりスポーツ振興につなげたい考えだ。

引用元:部活指導者:国家資格、自民が検討 外部人材登用狙う|毎日新聞

近いうちに関連法整備を経て実現…って流れがイメージされているようで、「国家資格を持った部活動の外部コーチ」という人間が登場するのは、そんなに遠い未来の話ではないのかもしれない。

自民党は、学校の運動部活動のレベル向上や安全確保のため、指導者の国家資格制度導入に向けた検討を進める。各種目で専門的技能を持つ外部人材を積極的に活用することで、指導内容を充実させるとともに、教員の負担軽減につなげることも狙う。年内に制度の骨格をまとめて政府に提言し、来年以降に関連法整備を経て実現することを目指す。

引用元:部活指導者の国家資格検討=外部人材を積極活用へ-自民|時事ドットコム(※2017年7月に閲覧、現在はリンク切れ)

国家資格になると試験に通過しなければいけないだろうから、しっかり勉強しなくちゃいけない。

Photo by Green Chameleon on Unsplash

問題の所在

そもそも「部活動指導員」が登場する背景には、2つの問題意識があった。

  1. 教員の負担が大きい
  2. 専門外のスポーツ等の指導をしなければならない

例:大学までサッカー一筋だったA先生が、突然テニス部の顧問を命じられたとしよう。こうなると2つの不利益が生じる。

  1. A先生は自らの意思とは関係なく、新しくテニスの勉強をし直さなくてはならない
  2. テニス部の生徒たちは、競技経験のない顧問の先生に教えられなければならない

効果1:教員の負担軽減

学校の部活動が、教員に対する負担が大きすぎるのはずっと言われ続けてきている大きな問題だ。 部活動指導員が制度化されたことで、外部コーチとして人を呼んできやすくなるのは間違いない。

これについては、東京新聞の記述がよくまとまっていてわかりやすい。

運動部の活動では、競技の専門知識を持たない教員が顧問を務めるケースが多く、教員の長時間労働の原因にもなっている。こうした状況を解決するため資格制度の制定構想が浮上。住民が主体となって運営する「総合型地域スポーツクラブ」や、学校近隣にある水泳や体操などの民間スポーツクラブの指導者を想定し、公的な資格を与えることで指導力や責任が明確になり、保護者の安心感にもつながることが期待される。

引用元:部活指導に「国家資格」 民間参加、教員負担減も|東京新聞(※2017年7月に閲覧、現在はリンク切れ)

中学校のバドミントンに関する問題については、わたしも以前書いている。興味があれば読んでみてほしい↓↓

中学バドミントン、「部活動」ありきの現行制度はおかしい

効果2:質の高い指導

「餅は餅屋」という言葉があるように、バドミントンのプレー経験がある人がバドミントンの指導をするべきだ。

団体戦で勝つためにダブルスプレーヤーばかり育ててしまう中学校の先生や、少し奇妙なラケットワークを指導してしまうテニス出身の先生など、競技経験がなくて「ズレた」育成をしてしまうケースも何度か目にしてきた。

確かに指導者の競技レベルと指導能力とは比例しない。わたしの中学校の先生はバドミントンの競技経験がなかったけれど、バドミントン部をしっかりと見てくれた。先生のおかげで、母校は過去数年間で近畿大会や全国大会にもコマを進めている。

西本拳太選手の指導にも携わっておられる(?)「お師匠はん」さんも、バドミントンの競技者ではなかったようだ。


しかしそうした人材がレアである一方で、地域を見渡してみればバドミントンの競技経験があって指導ができる人材はたくさんいるはずだ。 別に一握りのトッププレーヤーである必要はない。たとえば高校の部活動なら高校生に技術指導ができるぐらいのレベルなら問題ない。

外部コーチが具体的にできること

部活動指導員が外部コーチとして何をすることが認められているのだろうか?スポーツ庁からの通知を見てみると、具体的に以下のものが挙げられている。

  • 実技指導
  • 安全・障害予防に関する知識・技能の指導
  • 学校外での活動(大会・練習試合等)の引率
  • 用具・施設の点検・管理
  • 部活動の管理運営(会計管理等)
  • 保護者等への連絡
  • 年間・月間指導計画の作成
  • 生徒指導に係る対応
  • 事故が発生した場合の現場対応

出典:学校教育法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)|スポーツ庁

これらのことを、部活動指導員がやってもいいし、学校の顧問の先生がやってもいい。特に「学校外での活動(大会・練習試合等)の引率」が加わったのは大きいと言えるだろう。

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わたしが高校生のとき「顧問の先生が女子の試合の引率にいっており、男子は他校で練習試合」という状況があった。そのときにバドミントン部に名前だけ在籍していた副顧問の国語の先生が、練習試合の引率に来てくださっていた。

練習試合のあいだ、バドミントンには目もくれず1日中ずーっと本を読んでいた。あのとき副顧問の先生には本当に申し訳ないなと思ったものです。。

バドミントンのような個人競技だと「大会の会場が1日で2つ以上にわかれる」なんてことはザラにある。引率可能な部活動指導員が配置できていれば、こういうとき困らないのが嬉しいところ。

部活動 外部コーチの経験談

具体的に名前を出すことはできないけれど、とある中学校の部活動の外部コーチを1年ほどやっていた経験がある。

「学生時代はバドミントン一筋でした!」みたいな人生を送ってきた人にも、活躍の場が用意されている。このことはバドミントン界にとっても有益と言えるだろう。

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しかし、公立校ではなかなかそういう人を受け入れることができない現状があった(少なくとも有償で依頼できるほど部費が余っていない)。

そこでわたしのようなケースを紹介したい。とある地方自治体の教育委員会から派遣される形で、中学校のバドミントン部の外部コーチをやっており、当時の報酬は1時間あたり4,000円(+往復交通費) と設定されていた。

ただし時給としてはわりがいいけれど、これ一本で生計を立てるなんてことは難しい。というのも、雇用形態としては「外部委託」なので、正社員の身分などは当然ながら得られないからだ。会社の給与所得とは違って、保険も年金も天引きされていない。

またもう1つの理由として、部活動の時間以外は何もすることがないので時給がよくても稼働時間が短すぎるという問題がある。「部活の時間以外は家でゴロゴロしているだけ」ということだってもちろん可能なのだ。

実際に派遣された中学校のバドミントン部の練習に行ってみると、生徒たちのモチベーションがいろいろだったことに悩まされた。顧問の先生が「部活動をしっかりやらせたい」という方針の人だったので、自分もしっかりとした練習メニューを組んでいた。

しかし、モチベーションが上から下までいろんな部員がいると、なかなかメニューを決めるのも難しいものである。

特に、学生時代にバドミントンを熱心にやっていた人ほど「がんばるのが当たり前」という考え方なので、がんばらない人に対してどう接していいかはかなり悩むという(自分もそうだった)。

「なんでフットワークで手を抜くんだ!!」と言ってしまうのは簡単だけど、そもそもモチベーションが低くて、なんとなく部活動に参加していて、高い目標をもっていない人に対して、そういう言葉をかけてもまったく響かない。楽しくやりたいだけの人を許容するのもまた、学校の部活動の姿なのかもしれないので…。

Photo by Brendan Church on Unsplash

結局いまのわたしは、自分の母校に自分の意志でボランティアとして部活動を見に行っている。外部コーチという立場ではないけれど、生徒のモチベーションが全体的に高い部活動なので「この子たちのために力になりたい!」と感じるからだ。

そういう経緯があって、わたし自身は部活動という枠組みにはあまりワクワクしていない。むしろ「総合型地域スポーツクラブ」のような、学校の部活動の外側に可能性を求めたい。

結論

いずれにせよ、今後は「部活動のアウトソーシング」もいまよりは一般的になっていくものと考えられる。それは「部活動指導員」のような制度かもしれないし、総合型地域スポーツクラブのような枠組みを活用したものかもしれない。

しかし、現状でバドミントン部の外部コーチを探すときは、教育委員会に仲介してもらったり、卒業生にそれとなく依頼してみたりするのがいい方法ではないかと思う。

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